欲望に抗えない
私には困った性質があって、好きじゃないものを見てはいちいち突っ込みたがる。例えば、村上龍がサッカーについて書いたコラムを読みたがる。どうせ海外サッカー絶賛、Jリーグ見下し(下手すると触れてすらいない)だってことは分かっている。なーにが「サッカーで飯を食ってないから好きなことが言える」だあ?本を出してる時点でなあ、お前はそれで飯食ってんだよ!…とまあこんな調子で、腹が立つし、突っ込みまくるし、精神衛生上いいことは一つもないとわかっている。分かっているのに、好きじゃないものを見て突っ込みたい、という妙な欲望に抗うことができない。
そんなわけで9月6日の夜、見てしまいました。「スーパーテレビ 谷&ヤワラ 愛の実話」愛の実話ですよ、奥さん!
いつも思うのですが、やっぱりヤワラさん(故ナンシー関命名)は柔道をやっているときがステキなのです。試合はすごいのです。私も正直、オリンピックのとき金メダルが決まった瞬間だけは感動しました。なぜなら細木数子の予言にことごとく屈していく有名人が余りに多いから。思わず「よくやった!」と思いました。でもしゃべりだすと「もういいです」という気になってくる。なので、スーパーテレビは「もういいです」だらけなわけです。
きっとヤワラさんはいいひとなのでしょう。日本テレビのスタッフが「結婚披露宴を中継させてください」と言ったら「お仕事ですからね,わかりました、お役に立てるなら」と引き受けてしまうのでしょう。また「夫婦でオリンピックの取材がしたい」と言われたら「それじゃあ是非」と応えるのでしょう。
でも、もういいではありませんか。日本テレビのスタッフも、もう申し込むのはよしましょうや。そしてヤワラさんももう引き受けるのはよしましょう。断ったって誰も文句は言いません。それどころか「もっと早くそうしていれば…」と思うことでしょう。
すみません、つい力が入ってしまいました。
わたしが嫌いなものをつい見てしまうのは、昔誰かが「私の著作を見ないで批判するやつは、批判する資格なし。読んでから文句言え」と書いているのを読んだからなのだ。それは確か宮台真司だったような気がするが定かでない。「上等だ!読んでやろうじゃないか!」という、日頃は全く発揮されない反骨精神(なのか?)がなぜかこんなところでだけ発動する。自分でも不毛だ、ムダだ、と思うのだがやめられない。本当に、もうやめたい、いらない欲望なのである。
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過去のブログまでさかのぼって読んでます。おもしろいので片っ端からレスをつけたいところです。
「著作を読んでから文句を言え」ってのは、分かります。私も確か小林よしのりさんの漫画や、扶桑社の歴史教科書問題のとき、目にしました。
だから私も思わず「腹が立つだろう」「くだらないだろう」と分かっちゃいるけど、思わず読んでしまいます。
本に限らず、人の噂とか、イメージだけで判断しがちですけどね!
投稿: ジェフリス | 2004/10/12 20:12
上のコメント、意味不明でした。
たとえば私は小林よしのりさんが好きなのですが、「漫画をしっかり読めば分かるのに読めば分かることを、読まずに批判するやつがあまりに多い」というコメントに思わずうなずいたのでした。
本に限らず、人の噂とか、イメージだけで判断しがちですけどね!
私も、とにかく何かものを言うときは、自分で読んだり、見たり、調べてから言うようにしよう、と心がけてはいます。
結果、分かっちゃいるのに、むかつくものも読んでしまったりするんですけど。
コワイもの見たさでホラー映画を見て、やっぱ見なきゃ良かった・・・と繰り返しています。
まとまらなくてすんません。
投稿: ジェフリス | 2004/10/12 20:17
いえいえ、コメントありがとうございます。
そうなんですよ、分かってるのに止められないんですよね。
時々、「こうまでして見る(読む)とは、ほんとは私この人のこと好きなのでは?」と思うのですが、でも違うんですよね、明らかに。村上龍が日韓W杯の記事をスポーツ紙で書いてたときなんて、憤死しそうでした。赤ペン片手に新聞にいちいちツッコミ入れましたもん。そうでもしないと気持ち消化できなくて…ほんと、難儀ですよね。
投稿: 水瀬司 | 2004/10/12 22:03